・DEMOTAサービス管理人は、本サービスの利用時に法律、その他法令違反となる問題が発生した場合、全面的に警察その他機関に協力するものとします。
菜「なんか恐ろしいこと言ってないでござるか?これってつまり《てめえをいつでも警察に突き出してやるから覚悟しろよ》ってことでござろう!?」
花「落ち着いてデモ菜、この規約はそんな怖い話じゃないわ。それにDEMOTAでは【違法したという容疑のないユーザーを警察に突き出すことはできない】ことになってるの。」
菜「でもやっぱり容疑がかかれば、突き出すのでござろう?冤罪とか、大丈夫なのでござるか?」
花「それはまあ……運よ。《梨下で冠を正さず》って言葉があるでしょう?梨畑で帽子を直したら、梨泥棒として疑われるのは仕方ないことなの。訴えた本人ももちろん責任はあるけど、疑われるような紛らわしいことをする人も、悪いっちゃ悪いのよ。」
菜「なんとも立派な開き直りでござる。」
花「世の中ってそんなものよ、覚えておきなさい。さて、規約に話を戻すけど、これも実際に規約を使う側として説明しようかしら。はい、デモ菜。あんたは今、DEMOTAに登録しているオリジナル曲があるとします。」
菜「デモデモパレード、略してデモパのことでござるな!」
花「……楽曲名については、敢えて突っ込まないことにしておくわ。それで、そのデモパを使う時は、どんな決まりにしてるの?」
菜「商用を含まない無償利用の場合は、作曲者を書くだけで自由に使えるでござる。」
花「はい、では作曲者を書かないでデモパを使っているA氏が現れました。」
菜「なんと!?」
花「しかもA氏は、その楽曲をすべて自作したと嘘をついています。」
菜「おもいっきり規約違反でござる!」
花「するとどうでしょう。A氏のカバーしたデモパはたちまち有名になり、デモパの作者はA氏として定着してしまいました。どんどん有名になるA氏。それに比べて原作者のデモ菜は、何も知らされず、ただのうのうと白湯をすすっていました。」
菜「酷い。」
花「さあ、反撃の時間よ。この時デモ菜は【A氏は著作権を侵害している、または規約違反をしているとして訴えることができる】わ。どうする?」
菜「もちろん、訴えるでござる!」
花「おっけー。A氏を訴えると、警察をはじめとした調査機関が動くことになるの。確かな証がない限り、あくまで容疑でしかないからね。調査機関は色んな個人や団体に協力を依頼するわ。多分、DEMOTA管理人もそのうちの1人でしょうね。」
菜「もちろん、協力してくれるのでござろう?」
花「それがねえ……できないのよ。」
菜「なんと!?」
花「容疑者といえど、人は人。容疑者にも人権があるの。そしてその人権がある限り、本人の許可なしに、本人に関わる情報を渡すことはできないことになっているのよ。」
菜「そうはいえども姉上、容疑者が自分に関わる情報を渡すことを、許可するとは思えないでござる。」
花「そうよね。だから事後交渉はムリ。でも、利用規約として決めているなら、どうかしら。容疑者がデモパを使っているなら、とうぜん利用規約にも同意してるってことよね。つまり、容疑者からの許可をもらってるってわけ。これなら【DEMOTA管理人は調査機関に協力することができる】わ。」
菜「なるほど、そう考えると確かにこれも大事な項目でござるな。しかし自作発言して利益や栄誉を独り占めしようとはなんたる不届き者。もしそんな不埒な輩が現れたら拙者、容赦なく懲らしめるでござる。」
花「それはいいけど、あんた、裁判にいくらのお金と時間がかかるとおもってるの?」
菜「……。」
花「まあ国や地域の機関を使わなくても、懲らしめる方法はいくらでもあるわ。目には目を、ネットにはネットを、ってね。容疑者の人権を侵害しない程度に、気の済むまでやっちゃいなさい。そうでないともっと大きな犯罪を犯す可能性があるわ。でも、ちゃんと反省しているようだったら、それなりの対応をしてあげるのよ?」
菜「了解でござる!……ところで姉上、ここまで話を聞いて思ったのでござるが。」
花「うん?」
菜「拙者もなにかひとつ、DEMOTAに提供してみたいでござる!」
花「……。」
菜「な、なんでござろうその沈黙は!」
花「別に、ちょっと意外だっただけよ。じゃあ次は、楽曲作者がまもらなきゃいけない、制作規約について説明しようかしら。デモ菜、準備はいい?」
菜「ばっちりでござる!」